1. HOME
  2. ブログ
  3. 多田由美子 still life 展

多田由美子 still life 展

2019.4.30a-1.jpg
*作品画像は2018年1月に行われたswitch pointでの展示「雲をつかむできごと 石川卓磨+多田由美子」より「テーブル絵画ー机上の空論」2018年
今、静物画というジャンルにアプローチするにはどういった方法が考えられるだろうか。まず静物画というものが、描く対象として吟味したものを組み合わせ、用意周到に配置して描くもので、そこにはものの選択と配置の計算という厳密な手続きが必要になる。それぞれのものにシニファン/シニフィエが纏わりつき、それは作家の筆触/手管と相まって複雑に成す。
そういった意味では作家の意志をダイレクトに伝える、最もコンセプチュアルな絵画として捉えられる。
例えば描くことの前提として、ものの選択と配置の計算ということがあるのならば、もの自体を絵の具に見立てて、テーブル(タブローの語源はテーブルにあると言われる)そのものに配置するという方法があってもよいのではないだろうか。テーブルは人体のサイズで作られ、そこにあげられるものも人の都合で作られた素材と大きさや色で、人の気配が匂う即物的すぎるものたちが、机上で関係性を結びイメージとして立ちあがる。
still life-「死せる自然」に込められた「メメントモリ(死を思え)は、復興なお遠い震災後の東北の現状を照らし出す。なくなったものがあり、残されたものもある。それでもなおかつ人の営みとしてのビビットな日常としての事物は今ここにあるのだ。

関連記事